最近長男が、ことわざの本を読んでいます(ちびまる子ちゃんのことわざの本)。
といっても、本人は、たまにしか気が向かず、週に1回くらい見ているだけですが・・。それでも、さすがに子どもの脳、1回読んだだけで、あっという間に覚えてはいます。
そういうわけで、今日は、ことわざを覚え始めて良かったなと思うことを書きたいと思います。
早速、まず一つ目は・・
ことわざの良さ① 「具体的な出来事を抽象化する視点を与えてくれる」
ことわざ本を読み始めて少したったある日、長男が、怪獣を組み立てるプラモデルのようなもので遊んでいた時のこと。ある部品をずれた位置につけてしまったために、次の部品が上手くつかなくなって、長男は、イライラしていました。
しばらく悪戦苦闘した後、「あ、これを直せばいいのか。」と、工程を一つ戻って、ずれてつけていた部品を直せばいいことに気が付いた様子。うまく修正できて、ご機嫌になった長男。「ママ~、これって、急がば回れだね!」。
おお、そんな言葉が出てくるとは・・。ことわざが、長男の思考をレベルアップさせてくれたように感じて、うれしくなったのでした。
目の前で起きた具体的な出来事のエッセンスを抽出すると、「急がば回れ」が表現するものに当たるということを長男は理解したわけです。
それからというもの、生活の中で、ことわざにピッタリの状況が起きると、「短気は損気だよ!」とか、これは「馬の耳に念仏だね」といった会話をするようになりました。それがまた楽しい。ことわざが、長男に、出来事を抽象化して(=エッセンスを抽出して)、面白がる視点を与えてくました。
ことわざの良さ② 「人生の教訓を学べる」
そんな風に遊ぶのも楽しいのですが、それだけでなく、長男なりに、ことわざが教えてくれる教訓にも興味を持っている様子です。私からのお説教には反発しても、ことわざが教えくれる人生の教訓には、素直に耳を傾けています。
「・・いつも自分が使っている言葉とは次元の違う言葉、あるいは日常会話とは全く違うジャンルの言葉、つまり精神の言葉というべきものを幼い魂に刻印するという学習効果がある」
これは、老荘思想研究者の田口佳史さんという方が、漢文の素読について語った言葉です。精神の言葉とまではいかないかもしれませんが、ことわざも、これに近い効果があるように思います。
ことわざは、私たち親子の間でこれまで使われることのなかった、別の視点からの言葉です。日常生活とは違った次元の、先人の視点から語られる言葉が、子どもに新しい視点を与えてくれたように思います。
ことわざの良さ③ 「日本語のリズム感を体得できる」
「犬も歩けば棒に当たる」「豚に真珠」等々、ことわざは、声に出してみるとリズムが良いですね。
リズムの良い言葉には、口からついて出てくるような力や、聞く人の耳に自然と染み込んでいくような力があります。こうした言葉を暗記することは、日本語のリズムの定型を体得することにつながっていきます。
言葉のリズム感なんて、必要ないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、「リズムの良さには、人を自然に引き込む力がある」ということ、そして、「言いやすい・聞きやすい・読みやすい言葉とは具体的にどんなものか」を学ぶということは、色々な面で、地味に大事なんじゃないか・・と、思うのです。
例えば、身近なところでは、広告がありますね。
リズムの良いキャッチフレーズが踊る広告に、気持ちがひきつけられた経験は、誰しもあるのではないでしょうか。
他にも、例えば、皆に大人気のチョコレートプラネットの「TT兄弟」。「T、T・・T、T、T、T!!」っていうやつ。リズムが効いてますよね。
キャッチフレーズが勝負の、広告や、お笑いの仕事だけでなく、政治家だったり、学校の先生だったり、あらゆる業種の管理職、保育士さん、、、いろんな仕事で、言葉のリズムの力は発揮されうると思うのです。
そして、仕事に限らず、日常会話の中で、自分の言葉にパワーや遊び心を添えたいとき、リズムの力を使うことは誰しもあると思います。そういう、周りの人を楽しく自然に巻き込むような力を味方につけられたら、、、と思うのです。
また、逆に、そういう力の存在を知っておくことは、他の人が発するリズムの力から、自分を守ることにも役立つはずです。
人は、無意識的に、言葉のリズム力に引き込まれてしまうことがあると、知っておくべきです。例えば、自分は、広告の言葉に乗せられているだけかもしれないとか、なんとなく皆の気持ちを盛り上げている政治スローガンに簡単に乗っかってはいけないとか・・。リズムの力の存在を知っておくことは、自分を冷静に点検できる力にもなると思います。
リズムごときでちょっと考えが大げさかもしれません。でも、ことわざを覚えるとか、そういう小さな学びは、一つ一つ、少しずつ積み重なっていって、将来、そんな風に、間接的に、人の人生を豊かにしていってくれるんじゃないかなと思います。
慣用句とか、日本文学の良作とか、、、音楽とか、何気ない友達との会話なんかを通して、そういうリズム感は培われていくんだろうと思います。そして、ことわざは、そういう学びの一つとしても、とても良いものなんだろうな、と思いました。
なんにせよ、言葉の勉強は、道のりは長いです。
「千里の道も一歩から」ですね。